草々草子

全略出来ればどんなによかったか。

(Of)all days 沈丁花の空費

今週のお題「好きな街」

らしいです。また恥じることもなく全面的に提供されたお題を使って適当に。

といっても、私には語るべき過去がありません。いや敢えてお話しすれば皆さんの抱腹絶倒が目に浮かぶ...とまでは言い過ぎましたが、少しクスリと来る程度の下手な与太話なら沢山持ち合わせがあります。しかし、私は未来に向けて一歩一歩を進む度に薔薇色の花畑が枯野に変わっていく、つまり言ってしまえば黒歴史生産機のような生き方をしている故に、書いている間に顔も茹で蛸が真っ青になるくらい真っ赤に染まり(とてもややこしくてこの表現は気に入りました)、体温は40度を軽々と飛び越え、排熱機能に限界のある哺乳類、人間である私はそのまま自らの水分により無味の煮物になってしまうことでしょう。

故に、私が死なずに「街」というスケールの大きい過去の話をすることは出来ないはずでした。しかし、唯一私にも語れる街があります。そこは夢の中の街、脳内にこぢんまりと存在する小さな名前もない商店街。いつの日からかたまに夢の中に現れては私の頭に爽やかな風を吹き込みどこかへ消えていく、そんな街です。おっと、書いていて鳥肌が立ってきました。胡散臭さが売りの私がこんなメルヘンでファンタジーな雰囲気の文字を書いていいのか、その辺りは皆様にお任せします。耐えられなければ通報でもお願いします。

話の腰を折りましたが、座って話すのがちょうど良くらいの冗談です。どうぞ貴方も腰を折り曲げお座りになって、でなければ寝ながらでもいい。さて、その商店街ですが、誰もいません。シャッターは降りていませんが、店に入ろうと思うことはありません。ただ一人で、「活気があった場所から人間だけを全て抜き取った」ような雰囲気をどうしてか居心地が良いと感じながら歩き進めて、出口に立ちます。そこで「私はきっとどこかに恋人を置いてきてしまった」と思うのですが、恋人の顔も名前も思い浮かばず途方に暮れて、いつも目が覚めます。人によっては悪夢に映るやも知れませんが、私にはこの一人の時間がたまらなく気持ちが良い。と、ただそれだけの話でした。

そうですね、もしこの春にまた行けるとするのなら、花屋に一つ沈丁花の鉢植えが欲しい。普段外に出ない私に季節を感じさせたら、花言葉の通りに私を囚え離さずに囲っておいて欲しい。月を恋しく思うこともなく、ただ甘い香りに酔って寝ていたい。空想の檻に一人来る日も来る日も空費する時間を、どうか。

綺麗に纏めてしまいました、では一つ。今回タイトル使った三丁目の夕日ですが、大嫌いです。あの「泣かなければ負け」な雰囲気に包まれいたたまれず、上映終了後席を立つ際にコーラを目尻に塗った敗北感。故に今回はタイトル以外にリスペクトしていません。覚えていないし。これでいい感じに泥が塗れましたか。では以上です。