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草々草子

全略出来ればどんなによかったか。

一夜千秋物語(昔話)

つまらないから千文字程度でも読破に5年かかったような気がすることでしょう。

先に言っておくが、存外普通で何もかもつまらないぞ。

むかしむかし、19年と少しくらいむかし。世に一人の男の子が生を受けました。何のことはないふつうの子供で、ふつうに人生を終えました。終わり、と結べればどんなによかったか知れませんが、彼は子供の頃から馬鹿なりになぜか学校のお勉強だけはできたものでした。

年を重ねるごとに彼は期待を背負い、その量が愛を超えたのはいつからでしょうか。今となっては、あまり重要ではないことです。彼が隠し隠れて学校内で制服についた靴の跡を叩き消し、破壊された文房具の替えを帰り道に用意する事を別段気にすることのない日常に変えたのはいつからでしょうか。今となっては、あまり重要ではないことです。自分を虐げるあらゆる言葉を聞きながら教室で眠れるようになったのは、嘲笑の視線の多さから無視という言葉の矛盾性を考えるなど一人遊びの楽しさを受け入れられるようになったのは、友人申請や愛の告白のすべてをまず罰ゲームだと疑えるようになったのは、開いた瞳孔から入る猛烈な光の量が気にするようなものでなくなったのは、がん細胞で構成されたゴジラのように日常から「夜眠れない日」が消えたのは、今となっては全てあまり重要ではないことです。

人外を名乗る存在に傅いたような記憶もあります。この記憶は蓋を開けると大変な事になりますから、やめておきましょう。結論から言うと、私は気づけばゴミ箱にいました。物好きと恋愛をした事が何度かあります、浮気という行為が明らかになったその瞬間が、初めて自分が自分であると自覚できたような記憶もあります。生活もままならない仕送りから親へ贈り物をしたことがあります、こんなものを選ぶ暇があるならペンを走らせ勉強をして金を稼ぎ返せ、それが返礼でした。

結論、私はただの普通の人です。幸福を感じたことがあまりに少ないだけ、人より嘆かずに済む故にむしろ幸せな人間だと思います。大きな出来事に欠けドラマもない、面白みのない人生です。

あー面白くねえ面白くねえ!文章が?題材が?誰より私がだ、面白くねえ。決まってんだろが、物理的に噛まされる砂の味とか、自分の悪意あるあだ名が学級会番外で投票沙汰になったり、その当たり前が誰とも共有できないなら、私はこれから誰とも分かり合えない。教えろ、自分に価値を見出した人間たち。なあ、自分に売りにできるものがあり、人が自分に好意を持つ、なんだそれ、その条件の上に成り立つ不幸?どうしたお前。メンタルが弱った、でなく性根が捻じ曲がっただけで、病理すら持ちえない人間は、どっちだ?プラスマイナス、どっちだ。一例、氷山の一角、いくらでもこの先出てくるぞ。不幸自慢でなし、ただの幸福への羨望が。私は普通に生きていたかった、私は自慢ではないけれどいつだって笑っていられる、なぜ報われない。

その全てすら、どうでもいい。

彼はきっとそうして生きていく。もう他人事だしね。